ロールキャベツ男子、酒を飲む。


もうね、慣れてないから!

男の人とか! 慣れてないから‼︎


そんな近くに寄られたら!
仲良くなりたいとか言われたら!
がっしり肩なんて抱かれたら!
もたれかかって寝られたら!


全力で気になっちゃうでしょうが!


いやまあ、酔っ払ってんだけどさ。こいつは。べろんべろんに酔っ払ってんだけどさ。

ゼミの先輩数人と同期と飲み会。


いい奴なのよ。

身長高くて、ひょろっと細身。なんかおとなしいというか、奥ゆかしいというか……草食系男子。
顔はそれほどよくはない。でも本人が言うほど酷くもない。よく言えばあっさり顔。悪く言えば地味顔。


努力家で、気が利いて、たまに自虐的で、ちょっとヘタレ。


ヘタレのくせに、お酒飲むと急にアグレッシブになっちゃう。ガンガン自分を売り込んじゃう。女の子とも話せちゃう。

でもね、そこはやっぱり酔っ払いだから。
たまに糸が切れた人形みたいに崩れ落ちる。変身前の糸のついたピノキオ並に見事に崩れ落ちる。

そのピノキオった先が、今回は私の隣で。
というか当たってんですけど。肩とか。
完全にもたれかかってんですけど。意外と重いし。
なんかちゃっかり腰に手とか回されてんですけど。わりとがっちりホールドされてんですけど。


私ね、慣れてないんです。
20年間生きてきて、男の人と付き合ったこととかないから。


私を抱いたその腕が、意外とがっしりしててドキッとしたのは秘密。